
ロングパットの距離感が劇的に改善する効果的な方法を紹介
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ゴルフでスコアを大きく左右するロングパット。
テレビでプロの試合を観ていると、10メートル以上の距離でも正確に寄せるシーンを何度も目にします。
ロングパットを沈めてバーディーを奪う瞬間は、ゴルフの醍醐味の一つです。
しかし、アマチュアゴルファーにとってロングパットは鬼門。距離感が合わず3パット、時には4パットという事態に陥ることも珍しくありません。
ロングパットで確実に1メートル以内に寄せられるようになれば、スコアアップは確実です。
では、どのようにすればロングパットの距離感をつかみ、安定したパッティングができるのでしょうか。
本記事では、その具体的な方法を詳しく解説します。
パッティングの距離感は「振り幅」と「インパクトの強さ」で決まる
パターの距離感をコントロールするための基本は「パターの振り幅」と「インパクトの強さ」です。
しかし、ラウンド中にこの感覚が狂ってしまうことが多々あります。その結果、ショートしたり、大きくオーバーしたりするミスが生じます。
このようなミスの原因は、「強さの基準」が曖昧であることです。
プロゴルファーが距離感を安定させられるのは、振り幅とインパクトに基準があるからです。基準を持つことで、どんな状況でも一定のストロークが可能になります。
ロングパットには安定した基準が必要
では、具体的に「基準」とは何でしょうか?
それは、ボールとカップの間に設定する「目標点」です。この目標点まで「しっかりと打つ」という意識が基準となります。
この基準点を適切に設定できるようになると、ロングパットの精度は飛躍的に向上します。
ツアープロの梶川武志氏は、この基準点を「ヒット・スルー・ポイント」と名付けています。
ヒット・スルー・ポイントの決め方
ヒット・スルー・ポイントは、グリーンの状況に応じて変化します。
図解:ヒット・スルー・ポイントの基本イメージ
カップ
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| 惰性で転がる距離
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[ヒット・スルー・ポイント]
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| しっかりと打つ距離
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ボール
「ヒット・スルー・ポイント」はボールとカップの間に設定する基準点。
平らなラインでは中間地点が目安になります。
ヒット・スルー・ポイントはグリーンの状況によって変わる
グリーンは平らな場所だけではなく、傾斜がある場合がほとんどです。また、芝も速い、遅いという差があります。それぞれに応じてヒット・スルー・ポイントは変わってきます。
■平らなグリーンの場合
ボールとカップの中間地点にヒット・スルー・ポイントを設定します。そのポイントまでは「しっかりと打つ」という意識を持ちます。そこから先は惰性で転がると考えましょう。
【図1:平らなグリーンでのヒット・スルー・ポイント】
カップ
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[ヒット・スルー・ポイント]
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ボール
■上りのラインの場合
上り坂ではボールが転がりにくいため、通常より強めに打つ必要があります。傾斜がきついほど、ヒット・スルー・ポイントはカップ寄りになります。例えば、ボールとカップの3分の2、あるいは4分の3の地点を目安に設定します。
【図2:上りラインでのヒット・スルー・ポイント】
カップ
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[ヒット・スルー・ポイント]
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ボール
■下りのラインの場合
下り坂ではボールが転がりやすいため、自分に近いポイントにヒット・スルー・ポイントを設定します。ボールが加速しやすいので、通常より控えめなインパクトが求められます。
【図3:下りラインでのヒット・スルー・ポイント】
カップ
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[ヒット・スルー・ポイント]
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ボール
■スライスやフックラインの場合
スライスラインではヒット・スルー・ポイントをカップの左側に、フックラインでは右側に設定します。(右利きの場合)
傾斜が強ければその分大きくずらす必要があります。
【図4:スライスラインのヒット・スルー・ポイント】
カップ
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[ヒット・スルー・ポイント (左にずらす)]
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ボール
ヒット・スルー・ポイントを決める練習方法
ヒット・スルー・ポイントを決めることは理論的にはシンプルですが、実際に距離感を掴むためには繰り返しの練習が欠かせません。ここでは、具体的な練習方法を3つのステップで解説します。
ステップ1:練習グリーンでの準備
まずは10メートル程度のロングパットを想定して、練習グリーンにボールをセットします。
このとき、なるべく平坦で傾斜が少なく、曲がりのない真っすぐなラインを選びましょう。環境が整っていれば、より正確な距離感を掴みやすくなります。
次に、ボールとカップの中間地点(5メートル地点)にマーカーやボールなど目立つものを置きます。
この中間地点がヒット・スルー・ポイントになります。このマーカーが、目で見て明確に確認できることがポイントです。
ステップ2:しっかり打つ感覚を身につける
ヒット・スルー・ポイントまでは「しっかり打つ」意識を持ってストロークします。
大切なのは、ボールがそのポイントを通過した後、どのくらい転がるのかを観察することです。
例えば、ヒット・スルー・ポイントを過ぎてから2メートルしか転がらなかった場合は、まだ強さが足りません。
逆に、大幅にオーバーする場合は打ちすぎです。最終的に10メートル地点まで到達するストロークを見つけることが、このステップの目的です。
ボールがカップに届いたときのインパクト感覚を、自分の中で「ヒット・スルー・ポイントまでしっかり打つ感覚」として体に覚えさせましょう。
ステップ3:状況に応じたヒット・スルー・ポイントの調整
次に、上りや下りのラインを選んで練習を行います。10メートル程度の距離で、傾斜を感じる場所を選んでください。
上りのラインでは、ボールから7メートル地点にヒット・スルー・ポイントを設定します。
下りのラインでは、3メートル地点をヒット・スルー・ポイントとして意識します。
傾斜の強さに応じて、このポイントは柔軟に調整してください。強い上りなら、8メートル地点に設定するなど、自分の感覚を頼りに判断します。
また、距離を短縮したり延長したりして、ヒット・スルー・ポイントも同様に調整します。短い距離では「しっかり打つ」強さは弱めになりますが、ポイントまでは必ずしっかり打つ意識を持つことが重要です。
ラウンドでの実践方法
実際のラウンドでは、グリーン上に目印を置くことはできません。そのため、目視で「この辺り」と目安を決めます。重要なのは、カップを見て打つのではなく、ヒット・スルー・ポイントを意識してストロークすることです。
グリーンの形状が複雑な場合、ヒット・スルー・ポイントの設定はさらに難しくなりますが、経験を積むことで感覚が磨かれ、ミスを減らせるようになります。プロゴルファーも日々のラウンドでこの感覚を養っています。
まとめ
パッティングの距離感は技術だけでなく、感覚を磨くことが鍵です。「このくらいだろう」という曖昧な感覚ではなく、ヒット・スルー・ポイントという明確な目標を設定することで、より正確な距離感が身につきます。
スイング練習と同じように、距離感を鍛える練習を積み重ね、スコアアップを目指しましょう。